M&A

なぜ今、譲渡希望企業も譲受希望企業も成長のためにM&Aを活用するべきか

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「M&Aの大衆化」と「経営者のバトンタッチ」がM&Aの新しい活用法を切り開いた

2013年のアベノミクス以降、景気の回復局面でM&Aが復活してきた背景には、前回ご説明した事業承継型のM&Aおよび業界再編型が寄与しました。

2012年に団塊の世代が現役を引退したことで、事業承継のM&Aが増加しました。また、少子高齢化による人口減少およびリーマン・ショックによって規模拡大・コスト改善意識の強まった日本企業は、積極的に同業をM&Aするという業界再編型のM&Aをも同時に推し進めていきました。典型的な業界としては、調剤薬局業界やIT業界、人材派遣業界、学習塾業界です。

このように事業承継型と業界再編型M&A、また日本M&Aセンターに代表されるM&Aの仲介サービスが話題になることによって「M&Aが大衆化」しました。そして、M&Aを経営者が当たり前の経営手段と認識するようになったことで、譲渡先の企業側のニーズとしてM&Aの活用法である「ビジョン・戦略実現型のM&A」という萌芽が生まれました。

更には若手経営者が参考にするアメリカのシリコンバレーにおいては、年間のIPOが50件に満たないものの、M&Aは800件と16倍もの差があり、創業経営者がある程度のところまで企業を成長したところで、株式を売却し、新しい経営者を迎えることが一般的になっています。これはつまり、起業家から事業家へバトンタッチするということです。

私がこれまで多くのオーナー経営者を見て感じるのは、起業家はゼロからイチを作り上げることは得意であっても、それを10、100へとスケールアップをしていくことが苦手な場合も多いのです。アイデアが豊富でビジョナリーであり、一気に事業を立ち上げるパワフルさを持っていても、人材の採用や仕組み化・組織化、ファイナンスと企業が拡大していくためには様々な要素が必要です。そのような要素が苦手な起業家、もしくは次々と新しいチャレンジをするのが大好きな起業家にとっては、その事業を更に成長・持続させていくためには、大手企業に事業運営をバトンタッチし、事業家を経営者として招聘する「ビジョン・戦略実現型」のM&Aが当たり前の手段になるのです。

実際に私が携わったクライアントの例をご紹介しましょう。

いくつもの企業を経営し、成功を治めている若手経営者のA社長です。A社長はどのサービスもわずか300万円の自己資金でゼロから3億円まで成長をさせてきました。ところがそれ以上になると、複数のエリア展開や大規模化を求められるようになり、地方で事業を営むA社長には人や資金の問題があります。しかもA社長はアイデアマン。新しいことをするのが大好きなのです。そこで、それぞれの事業が一定のところまで育ったところで、事業を大手企業に売却することにしました。1つ1つの事業は1〜2億円の間で売却をしました。投資規模も小さいので、大手企業の投資リスクも低く、3ヶ月程度でクロージングまで導きました。その資金を元に、A社長は再び新しいサービスを多数手掛けています。

 

業界再編型では乗り切れない、大手企業の「成長の限界」

ここまで新しいM&Aの理由を説明してきましたが、M&Aをするためには、譲受先のニーズがなければなりません。では、譲受先の企業、特に中堅・大手企業にはどのようなニーズがあるのでしょうか。

その背景には業界再編型のM&Aでは自社の今後の成長に限界が生じてきたというものがあります。

業界再編は、同業を買収することで売上拡大および規模の経済によるコスト削減を目指す戦略を実現するために起こるものです。ところが、その業界自体が成熟〜衰退していく場合には業界再編型のM&Aを続けても、ジリ貧になるだけで自社が更なる成長を遂げていくことは難しくなっていきます。

現在多くのメディアでも取り上げられているように、AIやIoTが進展していくことで、今までにない新しい市場が多数登場していきます。印刷および軽貨物のシェアリングエコノミーサービスを提供するラクスルや専門家人材のシェアリングエコノミーを提供するサーキュレーションなど新しいサービスが既存企業を駆逐しようとしています。

そのような中で既存の大手企業は今までの事業ドメインに固執することなく、新しい事業に取り組んでいかなければなりません。ところが、新しいサービスを立ち上げるにはそれを立ち上げる人材も投資コストも、時間も考えると自社だけでは追いつかないことも多数あります。そのような時にビジョン・戦略実現型のM&Aによって、事業を買収し、時間と新しいサービスのノウハウ、そして人材を獲得することが合理的な戦略なのです。

また最近では、次期幹部候補を育てるためにM&A先で経営経験を積ませたり、優秀な人材が流出することを防ぐため、買収先の企業にそれらの人材を派遣し、擬似的な起業経験を積ませるということを積極的に行っている企業もあります。このような副次的な効果も踏まえれば、ビジョン・戦略実現型企業を買収することは、投資対効果の見合うものであると言えるでしょう。

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